先日の「【元MSW解説】金銭管理 | 頻発!困ったケースとその対処法。」の第3弾。今日もお金の管理に関する話です。タイトルにある成年後見制度については「【成年後見制度】どんな制度?費用は?申請方法は?運用上の課題は?」をご覧ください。
【概要】日常生活自立支援事業とは

厚生労働省はこう言っています。枠の下から細かく説明していきます。
日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。
厚生労働省「日常生活自立支援事業」(7,Dec,21)
対象はだれ?出来ることは?
〈本事業の対象者は、次のいずれにも該当する方です。〉
厚生労働省「日常生活自立支援事業」(8,Dec,21)
①判断能力が不十分な方(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な方)
②本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる方
対象者
- 判断能力が不十分な方
- 事業の契約内容を理解できると認められる方
事業の対応範囲
- 福祉サービスの利用に関する情報提供や相談。
- 貴重品預かり(銀行印・通帳・年金証書等)。
- 公共料金・福祉サービス費用の支払い代行。
- 成年後見制度への移行に関する相談。・・・・・・等
利用料は?
各社会福祉協議会で設定しています。訪問の費用の全国平均は1200円/回くらいです。また、契約前の相談は本人の年収を問わず無料で、生活保護受給世帯については契約後の利用料も無料です。(参考:厚生労働省「日常生活自立支援事業」8,Dec,21)
〈社会福祉協議会とは〉
通帳:社協(しゃきょう)。各地域の課題や福祉的ニーズに合わせて独自で各種の事業を行います。日常生活自立支援事業は、どこの都道府県でも共通して実施している事業です。【参考】全国社会福祉協議会「社会福祉協議会とは」(8,Dec,21)
【申請】申請方法は?
申請〜利用開始までの流れ
日常生活自立支援事業を利用したい旨伝えます。お近くの市町村社会福祉協議会↓↓
ご本人と市町村社会福祉協議会の担当者が面談。希望の援助内容やご本人の認知機能の程度を確認します。
事業の対象者となり得るか、市町村社会福祉協議会にて審査会が行われます。
事業対象者と認められた場合
利用するサービスについて計画を立てます。
STEP1で立てた計画に問題がなければご本人と社会福祉協議会間で契約します。
ご本人に担当者がつき、契約に基づき援助してもらえるようになります。
〈日常生活自立支援事業〉と〈成年後見制度〉の違い
2つの制度の違い
日常生活自立支援事業 | 比較項目 | 法定後見(成年後見制度) |
---|---|---|
実施主体がそれぞれで決定。(全国平均1200円/訪問1回) | 利用料 | 家庭裁判所が本人の財力と援助内容に合わせて決定。 |
認知機能の低下あり(契約締結に支障ないレベル。) | 認知機能 | 認知機能の低下あり(契約締結に支障があるレベル。) |
福祉サービスの利用援助や日常的な金銭等の管理に限定。 | 対応可能範囲 | 不動産等、本人所有の幅広い財産を管理可能。遺産分割、施設契約、消費者トラブルの取消しなども可能。 |
社会福祉協議会 | 実施主体(支援者) | 家庭裁判所が決定した後見人等 |
本人の意思で中止可能。 | 利用中止 | 本人死亡/判断能力回復時のみ家庭裁判所の許可を得た上で可能。 |
法定後見制度のほうが、対応可能範囲が広く、その分手続き等が複雑で長期化します。成年後見制度の詳細は以下の記事をご参照ください。
〈判断基準〉どちらを使うか。
上の表にて比較はしましたが、どちらを使うかという判断は私を含め一般の方には判断が難しい場合があります。一度社会福祉協議会に連絡をしてみて、どちらが適しているか相談に乗ってもらうことをお勧めします。(間違いなく、家庭裁判所より社会福祉協議会の方が相談しやすいです。)必要時ご本人に会いにきて面談の上、判断してもらうことができます。
本日のポイント |
---|
〈日常生活自立支援事業〉を使いたい場合は市区町村社会福祉協議会へ連絡。 |
〈日常生活自立支援事業〉は日常的な金銭等貴重品管理に限定される。 |
〈日常生活自立支援事業〉は成年後見制度と異なり、本人の意思により契約を解除できる。 |
いかがでしたでしょうか。ご質問等は「お問い合わせ」ページにて承っております。