本日はご依頼により、クラスター対応を経験した元MSWが、COVID-19のクラスターが発生した際の退院支援の現場をお伝えします。それでは参りましょう!
【一連の流れ】クラスター発生から収束まで。
ざっくりですが、こんな感じです。
陽性者が判明した時点で濃厚接触者を洗い出します。検査対象者に検査を実施、陽性者が5名を越えた場合クラスター認定を受けます。
増えた陽性者分の濃厚接触者を洗い出します。
入退院・外来・救急受け入れ等、病院の各機能をどこまで制限するか検討します。陽性者が発生した部署次第で制限する内容が変わります。
検査を継続します。
陽性者の最終発生から2週間経過した後、保健所の指示の元、収束宣言発出となります。この後からは通常通りの病院運営をします。
クラスター発生。その時入退院連携は。
ここからは経験したことがないMSWさんや施設の方向けです。
直近2週間の退院者の洗い出し
自分が担当していた方で2週間以内に退院された方と、その退院先をリストアップします。
私の勤務先では上司がその情報を集約して、退院先に陽性者との接触のリスクなどの情報提供をしていました。
直近の転院予定者の洗い出し
制限の内容を確認します。(「〇〇病棟は入退院を止めます、全病棟入退院止めます。」など。)
まず、家族、転院先へ事情を説明して制限に抵触する方の転院を止めます。必要時介護タクシーもキャンセルします。病院としては転院可能でも、相手方が受け入れ不可の場合があります。相手方の受け入れ基準も確認します。
相手方(病院・施設)の受け入れ基準の確認
濃厚接触者では無い方への対応は特に細かく確認する必要があります。
- 収束宣言後に再度日程調整か。
- 収束宣言を見越して退院日を調整するか。
- 抗原定量検査等の検査を実施すれば収束宣言前でも受け入れ可能か。
- 収束宣言をすれば検査の実施は不要か。
- 検査が必要な場合、いつどの検査をするのか。
濃厚接触者となっていなくても、基本は収束宣言後の退院と思ってください。ただ、中には状況を確認の上、収束宣言前でも受け入れてくれる病院もあります。収束宣言前に受けて頂く方法はあるか聞いてみてください。
私も収束宣言前でも柔軟に対応して下さった病院さんに助けられた1人です。本当に感謝しかありません。
検査が必要な場合に聞いておくべき情報
- 転院の何日前までの検査が有効か。(前日・3日以内など。)
- 検査方式(抗原定量検査/PCR)
- 検査結果の報告方法(FAX・電話にて口頭)
検査方式は特に重要です。抗原定量検査は出来るがPCRは出来ないという病院もありました。
外注した経験もありますが、機械が壊れて結果が出るまでに時間がかかり予定通りの転院が出来なかったこともありました。連休明け等で検査数が増加している時もあり、転院前の検査は注意が必要です。
稀に、転院当日に検査をしてきてくださいという病院もありました。
朝9時出発で抗原定量検査を当日にと言われると、どんなに遅くても8時には検査にかけている必要があります。夜勤の看護師さんの時間帯だとマンパワー的に検体採取が厳しい場合もあるので、「当日検査するから到着時刻遅らせてくれませんか・・・?前日検査にしてくれませんか?」など、交渉です。
抗原定量検査は大体1時間くらい。
PCR検査は1時間半くらいです。
クラスターの関係で介護タクシーがつかまりにくくなることもありました。
近隣施設・病院と、協力的なタクシー会社さんの情報を共有しながら対応しました。
転院・入所を受ける側の方へ
このあたりを施設・病院としてどう対応するか確認しましょう。
- 濃厚接触者ではなくても収束宣言後まで受け入れを止めるのか。
- 収束宣言前でも検査等の条件次第で受け入れるのか。
- 収束宣言後、検査をした上で受け入れるのか。
- 検査の種類・やる時期(入院・入所◯日前)はいつか。
いかがでしたでしょうか。色々な対応でメンタルが削られるかもしれませんが必ず終わりが来ます。退院調整中の方も、出来るところまで進めて、収束宣言が出次第日程調整するだけという状況にしておけると良いと思います。陰ながら応援しております。本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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