元ヤングケアラーが読むシリーズ第2回。厚生労働省・文部科学省共同のヤングケアラープロジェクトチームの議事録を読み進めていく合間で元ヤングケアラー澪さんの個人的見解をぶつぶつ呟いていくスタイルです。プロジェクトチーム・・・?という方は以下の記事で概要を取り扱っておりますので是非ご参照ください。それでは参りましょう!

第1回のヤングケアラープロジェクトチームでやったこと
挨拶・取り組み報告
①プロジェクトチーム立ち上げに至った背景の説明(厚生労働省・文部科学省両副大臣の挨拶)
②厚生労働省・文部科学省におけるヤングケアラーの支援に係る取組についての報告(資料のみ)
③有識者からの報告(2名)
④今後の予定の共有
こんな感じのラインナップでした。
厚生労働省の山本副大臣は障害がある娘さんがいらっしゃるとのこと。
ご自身のご経験を交えながらの挨拶でした。
「ヤングケアラー自体が問題なのではなく、必要な支援が届かず、過度な負担となっていることが問題だ。」「ケアを通じて他では得難い経験をしている場合もある。ヤングケアラーの課題について周知啓発する際には、ネガティブな面のみに偏らないようにする配慮も必要。」というあいさつ。
「ヤングケアラーの方々にとりましては、青春は一度きりですので、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えております。」(議事録内、山本副大臣の発言より抜粋。資料のリンクは本記事最後にて。)
いろんな経験を経て、自分を守る為に良い話は話半分以下で聞く癖がついてしまったわけですが、騙されたと思ってこの言葉を信じてみたい気もします。(副大臣、こんな天邪鬼で大変申し訳ありません。)
有識者からの報告
今回は以下2名の先生方でした。
①成蹊大学 澁谷先生 「なぜ子どもがケアを担うことになるのか」
②日本ケアラー連盟 田中理事 (立教大学 助教)「ヤングケアラーの施策・提言」
【澁谷先生】
「家庭では、子どもをケアに向かわせる力は大きく働くのですけれども、子どもが ケアをすることを止める力は働きにくい状況にあります。(議事録内、澁谷先生の発言より一部抜粋)」
頑張る子どもに申し訳ないと思いつつ、家庭を維持する為にはその頑張りに甘えざるを得ない状況にある家庭がある。そんな家庭では保護者が子どもに「頑張るな」ということが非常に困難ということです。当然です。この後、澁谷先生はほどほどのラインを守る為、外部の力を有効活用する必要があるとお話しされています。
ケアは家庭でカバーするものという社会の風潮。家族構成員の減少に共働き世帯の増加。
この現状を思えば子どもにしわ寄せがいくのは至極当然のことと思います。
そして、結果その風潮を生み出している社会が、「保護者は何をやっていたのか」と問う。
実際、保護者は何をしていたんだと思う事例もないわけではありません。
でも、この状況はもう私からしたらカオスです。自分の思う”常識”を守る為にどれほどのものを切り捨てるのか。
その他、各種支援制度はあるものの、子どもがそこにたどりつく難しさなどが指摘されていました。
【田中先生】
ヤングケアラー支援の方策についてのお話しです。
①ヤングケアラーの認定・ アセスメントを行い支援する。(早期発見、対応の為)
②本人含む関係者にヤングケアラーに関する学びの機会とその結果を改善する。
③支援ニーズに対応するサービスの開発とそれへのアクセスを保障する。
④自立して社会生活を送れるよう支援する。
内容はこんな感じ。
①早期の段階でヤングケアラーとして支援が必要なのか見極める。
②ヤングケアラーに関する勉強の機会を設け、たくさんの人に知ってもらえるようにする。
③必要とされているサービスを作る。あわせて、サービスにつながる機会を保証する。
④進学・就職の相談及び資金面の援助を行う。(文章ががらりと変わりましたが、こう書かれていました。)
目的はこんな感じ。
①ヤングケアラーが社会から孤立し、否定的な影響を受けることがないようにする為。
②ヤングケアラーは発見が難しい存在であることを踏まえ、本人を含め広く認知率を上げて早期発見につなげる為。
③学齢期の子どもたちが適切な支援につながることの難しさを踏まえ、サービス利用の権利を守る為。
④ケアによって進路・就職の選択肢が狭くならないようにする為。
その他、スクールソーシャルワーカーの【全校配置】の提案もされていました。
というのも、今は【拠点校配置】と言って、拠点となる学校や教育委員会に配置されていて、学校の要請を受けてそれぞれの学校へ出向くスタイルとなっているからです。
拠点校以外での学校の先生との関係を密にしようと思うと、全校配置は是非実現して頂きたいと思います。
あとついでに正規雇用へ格上げしてください・・・ワーカーにも生活があるのでどうかお願いします。
支援団体やピアサポートの体制を整える為の支援など盛り沢山でした。
本当にざっくり気になるところを拾い上げただけなので、ご興味持って頂けた方がいらっしゃいましたら添付のリンクより大元の資料をご参照頂ければと存じます。以下参考・引用文献です。
1回目の概要はここまで。明日は2回目のお話をする予定でおります。最後までお付き合い頂きありがとうございました!(この後は完全に私の感想です。)
おまけ (第1回ヤングケアラープロジェクトチームの資料を読んで嬉しかったこと)
「サービスの利用を拒否されたときに、本来ならば障害者サービスの担当者の方が、引き下がるのではなくて、しっかりと受け止めて支援につなぐことができたら(以下略)」
とあるケースの紹介の際に田中先生から出た言葉です。家族が断るから引き下がる。それで良いのか。嫌がる気持ちを可能な範囲で掘り下げ、受け止められたらもっと別の結果が得られたのではないか。そんな話でした。
私の家は、サービス利用を拒否した側です。拒否したのだから専門職から諦められて当然だったと思っていました。
そんなふうに思わなくて良かったのだと、頭だけの理解ではなく実感を持って感じられました。
相手の意向に寄り添いつつも、専門職の立場としては全てを認めるわけにはいかない場面がある。
実習で更生保護関係(刑務所とか少年院とかです。)に行った時に、ありのままを受け止めるのと、今のままを受け止めるのは違うという言葉に出会いました。
私たちがやっているのは、近所のおばちゃんの井戸端会議じゃない。求められていない場合の介入が、お節介になるかならないかは介入根拠次第かな、なんて思いました。社会福祉士としての立ち居振る舞いについても再度考え直す良い機会になりました。
以上です。
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