本日は延命治療とは何か、というお話です。重たいお話で驚くかもしれません。ご自分のペースでゆっくりご覧頂ければと思います。それでは参りましょう!
延命治療(えんめいちりょう)って何?
『回復が見込めない』と判断された状態で、各種行為をすることによって少しでも命を長らえることを期待する為に実施する治療です。ここでのポイントは『回復が見込めないと判断された状態で』ということです。
ここからは、冒頭に書いた「各種行為」について説明します。
各種行為って?
心臓や呼吸が止まりかけた時/止まった時に実施する処置です。ざっくりですが紹介します。
心臓マッサージ
心臓のあたりに繰り返し体重をかけ、心臓の動きをうながします。
高齢の方だと、骨が脆くなっており若年の方に比べると胸骨の骨折のリスクが高まります。
除細動(電気ショック)
胸に電極をあてます。その電極からとても強い電流を流すことで、心臓の不整脈をとめる治療です。
医療系のドラマで「離れて!!」と言ったあとに患者さんの体がばんっと跳ね上がっている様子をご覧になったことがある方もいらっしゃるかと思います。あれです。
マスクによる換気
マスクで鼻と口を覆い、手動で強制的に呼吸を促します。マスクとは、私たちがよく使う不織布やウレタン製のもどではなく、換気専用のものを使います。
気管内挿管
呼吸が止まった時、十分に呼吸ができない時に口や鼻から喉に管を入れて空気の出し入れを試みます。場合によっては人工呼吸器を使うことがあります。
人工呼吸器(じんこうこきゅうき)
まずはじめに、1つお伝えしたいことがあります。回復の見込みがある中で人工呼吸器を使う方がいます。これは今回説明する延命治療にはあたりません。私も人工呼吸器から離脱していく若い患者さんを何人か見て来ました。今回は、回復の見込みがないという状態の方についてです。
自力で呼吸ができない時に使用する機械の名前です。管を口から気管の中に入れます。

昇圧剤(しょうあつざい)
心臓の動きが悪くなった時。昇圧剤はその動きを回復して血圧を上げる作用を期待できます。
ただし、病状が重かったり老衰のような状態だったりする場合はその効果は一時的でまた血圧が下がる可能性が高いとされています。
療養型病院で延命治療をしないのは、「延命治療によるご本人への負荷を考えて」という考え方です。
どこまで何をやるのか。
前の項目であげた行為をどこまでやるのか。
高齢の方が入院されると、どこまで延命行為をするか割と早い段階で聞かれることがあります。
「とにかく全てやってください。」
「家族の到着まで心臓マッサージを。」
「何もしないで自然な形でみてください。」
色々な選択があります。
実際に医者に聞かれる時には、本人が意志を示せないということもあります。
話せそうであればあらかじめ話してみる(*1)ことをお勧めします。
【(*1)「あらかじめ話してみる」について】
ちらしの内容で一悶着ありましたが、「人生会議」ということばがあります。興味がある方は厚生労働省と神戸大学が制作した【「もしものとき」について話し合おう(実際にやってみよう)】をご覧ください。話し合うと良いことがリストアップされています。
日常的に医療行為が必要な方へ。
本日のポイント |
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延命治療は、回復の見込みが無い時の治療。 |
延命治療を断っても治療(熱が出た、どこかが痛いなど)はしてもらえる。 |
一度決定した意向もその後変更可。 |
あらかじめ話せそうであれば最期の対応についてご本人と検討を。 |
いかがでしたでしょうか。ご質問等は「お問い合わせ」より承っております。
【note】