病院で相談員をしたいと思った私も入職するまでこの違いをあまり理解していませんでした。今日は病院の種類や、入院出来る期間は?というお話をしていきます。それでは参りましょう!
急性期病院って?
私はここに勤めていました。
医療ドラマでよく登場するのがこの種類の病院ですね。
特徴
- 救急車を受け入れて、発症したばかりの病気や怪我に対応する病院。
- 治療目的の病院。治療が終わり次第退院。
入院期限について
- 入院の必要があれば必要なだけ入院する。数日で退院になる場合もあれば半年以上入院する場合もある。
- 治療中なのに入院期間が長くなったからという理由で他院への転院を求められたり治療が終了になることはない。
急性期→急性期の転院もありますが、それは入院中の病院で対応出来なくなった場合(状態悪化・他の病気を発症など)のみです。
回復期リハビリテーション病院/病棟
回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの病気で急性期を脱しても、まだ医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者さんに対して、多くの専門職種がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした病棟です。
「回復期リハビリテーション病棟とは」 一般財団法人 回復気リハビリテーション病棟協会 http://www.rehabili.jp/patient/index.html
特徴
- リハビリ(入院で)目的の病院
- 入院できる病気・怪我は国で決められている。(誰でも入院できるわけではない。)
- リハビリ後職場復帰や自宅退院を目指す。
- 365日リハビリ。
お近くの病院↓↓
「会員病棟一覧 | 一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会」のホームページにて探せます。(国内全域)
入院対象・期間↓↓
「患者様やご家族の皆様へ「重要なおしらせ」|一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会」のホームページにてご確認頂けます。
※入院期間はあくまでも上限です。上限まで入院しない方がほとんどです。
【memo】
回復期リハビリテーション病院への転院については、発症から1ヶ月/2ヶ月以内に転院しなければいけないという縛りがありました。2020年4月の診療報酬改定よりその縛りは撤廃されました。未だ病院ホームページに入院までに縛りがあるように書かれている場合もありますが、その病院のホームページの更新が間に合っていないだけです。回復期リハビリテーション病院であればどこの病院でも当該縛りはありません。(2022年春の改定で変更が出た場合は追って追記します。)
回復期への転院を提案された方へ
『今の病院でそのままリハビリしてほしいのに。』
『病院(急性期)に見捨てられたんだ。もうダメなんだ。』
思うところは様々あるかもしれません。ただ、これは違います。今の環境(急性期病院)より良い環境でもっと長い時間数リハビリが出来るから転院という提案をしています。
発症後すぐ。今が、チャンスです。
地域包括ケア病棟
特徴
- 入院期間は最大60日。退院準備が整い次第退院。
- 一般病棟での治療後、自宅復帰を目指す方の為の病棟。
- 60日間の間にリハビリや在宅環境の整備等を行う。
- 基本的に新たな治療はしない。(必要な場合は一般病棟へ戻る。)
- 自宅等で療養中だが、調子が悪くなったなどでお困りの方も対象。
回復期リハビリテーション病院/病棟との違いは?
回復期リハビリテーション病院/病棟には、入院適応となる疾患や症状に指定があります。それに対して、地域包括ケア病棟は病名を問わず患者さんの病状に応じたリハビリテーションを実施します。リハビリの実施時間数は回復期リハビリテーション病院の方が長いです。
【参考】
お近くの地域包括ケア病棟(一部)
一般社団法人 地域包括ケア病棟協会「会員名簿」
地域包括ケア病棟について
「地域包括ケア病棟 | 病院紹介 | 永生病院」
(いずれも外部リンクへ。2021,11,7取得)
※入院期間はあくまでも上限です。上限まで入院しない方がほとんどです。
療養型病院/病棟
急性期を脱した(=治療を終えた)後も引き続き医療行為が必要な方を受け入れます。
医療行為とは(例)
- 点滴
- 経管栄養
- 痰吸引
- 麻薬管理
- 酸素管理
- 褥瘡(とこずれ)処置・・・など。
特徴
- 入院期限はない。
- 医療行為が無くなれば施設調整、自宅退院調整の話が出る場合もあり。
- 費用形態が急性期病院や回復期リハビリテーション病院と違う。
- 積極的な治療や症状の精査、延命行為はしない。
- 医療療養型と介護医療院の2種類がある。(行き先は入院中の病院や在宅であればケアマネージャーさんが相談に乗ってくれます。)
- 各診療科の先生が対応する急性期病院と違い、必ずしも専門の先生が主治医になるわけではない。
【延命行為はしない】ことについては、「【最期の対応】DNR(Do not rescue)延命治療って?」(本サイト内他記事)で解説しています。
本日のポイント |
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急性期・療養型に入院期限はない。 |
回復期は病気・怪我ごとに期限あり。 |
急性期は治療専門、回復期はリハビリ専門。療養型は治療終了後に医学的管理が必要な方向け。 |
「いつまで入院出来るか」という聞き方を嫌がる病院スタッフもいる。 |
地域包括ケア病棟は病名を問わずリハビリ可。60日以内に退院。 |
いかがでしたでしょうか。ご指摘・補足希望等は「お問い合わせ」ページより承っております。
*新人相談員さん向け*
医療療養型/介護医療院のどちらが対象かの判断は「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」をご覧ください。(札幌宮の沢病院/2021.9時点最新版/左側参照)原則、区分Ⅱ・Ⅲは医療療養病院。その他が介護医療院。あとは皆さんの地域のローカルルールに準じて下さい。各病院ごと対応出来るレベルが違うので、候補の病院へ紹介状を送ってみて先方の反応を確認してください。
受け入れ可否は、候補病院の医療体制と医療区分、その時のタイミングが絡み合います。
(区分的には受け入れ対象だが、その病院のキャパシティ的に受け入れ出来ないなど。)
試しに相談してみるような感覚で紹介状を送ってみても良いと思います。区分はあくまでも目安です。
介護医療院は元々介護療養型という名称でした(現在は介護医療院への名称以降期間中。〜2024。)。大きい違いは在宅退院したことに出来るか出来ないか、かな。介護医療院になったことで、退院者を在宅復帰率に算定出来るようになりました。